FM音源とシンセサイザー

最近制作が加速してますけど、それに並行していろんなソフトシンセに手を出してます。とはいえお金はないのでフリーのシンセに頼ってますけど……生音ソフトは基本的に圧倒的にフリーのものは出来が酷いんですが、エレクトロ系やサンプラー等はなかなかクオリティの高いものもあるので好きです。


ところで、みなさんFM音源ってご存じでしょうか。シンセサイザーは名前ぐらいは聞いたことあると思いますけど、両者はほぼ真逆の関係性にあるサウンドモジュレータ。この話をする前にひとまず「倍音」の説明をしなきゃいけないんですが……
倍音、これも名前ぐらいは聞いたことあるんじゃないですか。その名の通り、周波数が元の音の整数倍数になっている音のことで、音に豊かな表情を付けるのに非常に重要な役割を果たします。和音は音ではなく響きに豊かさを与える要素なので倍音とは関係ないです(12平均律の半音の周波数比は1:2の12乗根なのでオクターブの完全8度を除いて整数倍にはならない)
全ての音の基本になる「倍音を全く含まない音」がサイン波なんですけど、シンセサイザーでは基本波として他にノコギリ波、矩形波三角波が存在しますがこれらの音には全て倍音が含まれています。ノコギリ波には2以上の全ての整数倍音を含み、その音量は周波数比に反比例して小さくなります。矩形波には3以上の全ての奇数倍音を含み、その音量も周波数比に反比例して小さくなります。ここらへんの話はフーリエ級数というものを勉強するとよくわかりますが、話すと長くなるので詳しくはググって。
これだけ話して話を進めましょう。FM音源シンセサイザーは真逆の関係にあると言いましたが、触った人なら分かると思いますが、シンセサイザーは三角、矩形、ノコギリ波の倍音を多く含む音をオシレータと呼ばれる発振回路から発生させ、その音をローパスフィルタやハイパスフィルタ、その他エンベローブなどを用いて、「倍音を削って」音を作る楽器です。よってシンセパッドのようなシンフォニックな音を作るのには向いてますけどこれでも作れる音には限界がありまして。
真逆の関係にあるというFM音源は、逆に発振できるモノは倍音を全く含まないサイン波しかなく、その代わりそれを発振する回路が4〜8と多く、各にエンベローブをかけることができます。そしてそれぞれのオペレータには基音に対する周波数比を設定できることが多く、シンセサイザーとは真逆の「倍音を重ね合わせて」音を作る楽器です。しかし倍音を純粋に重ね合わせるだけではできる音に限界があるので、その名についているFM変調を武器により強い倍音成分を引き出すことができます。FM変調というのは二つの波から片方の波をもう片方の波で変調し「周波数を連続的に変化させる」こと。普通はLFOと呼ばれる0.5〜30Hz程度の低周波で変調するモジュレータを使いますが、音波と同じレベル(30〜20000Hz)で変調すると結構金属的な音ができるんですよ。コレを上手く使うとオルゴールみたいな音やエレピみたいな音もできます。
これがね、なかなか面白いんですよ。電子楽器って言うと大体みんなシンセサイザーを思い浮かべるんですけど、FM音源も作り方によってはかなりいい音作れますしね。倍音を削るシンセサイザーがエレクトロ系の音源というなら、倍音を生み出すFM音源はどちらかというと写実的な音源ですね。アルゴリズムが軽いので携帯のMIDI音源にも用いられています。


実際どういう音が鳴るかっていうのは、ちょっと実践しづらいのでググるか自分でやってみてね。シンセはSynth1、FMはVOPMってヤツがオススメよ。